オービル・オービルバイギブソン・ギブソンを弾き比べた

ギブソンのレスポールは、言わずと知れたアメリカや世界を代表する名器ですが、日本にはオービルバイギブソンやオービルという名器のレスポールがあります。   なぜオービルという名前なのかというと、ギブソンの創始者の名前「オーヴィル・ヘンリー・ギブソン(Orville Henry Gibson)」からきているのです。アメリカ本家は氏のギブソン、日本製は名のオービルといった具合に創始者の名前が使われているのでオービルもギブソンが認めた”本物”という事になります。   オービルのレスポールは全て国産です。日本で1980年中頃から90年代終わり頃まで生産されており、今では有名となった寺田楽器やフジゲン楽器が制作をしていました。「今では」と言ったのは、当時の両メーカーはOEM生産が中心であり、自社ブランド製品を積極的に販売していなかったので、ブランド名が表に出る事がなかったからです。最近ではオリジナルのブランドも有名です。   元々は寺田楽器やフジゲン楽器が作っていたレスポールのレプリカモデルですが、本家ギブソンが認めたわけです。あまりに質が良いのでギブソンが嫉妬したという噂もあるほど。   70年代から80年代初頭にかけてのギブソンは暗黒期と呼ばれ、良質な木材を失った事などで販売不況に陥り、迷走していた時期です。恐らく、ギブソンの職人さんたちも大分辞めてしまったのではないかと推測します。   一方、そういった時期にコツコツと品質を上げていったのが寺田楽器やフジゲン楽器を代表する日本の楽器メーカーです。特に、フジゲン楽器は、フェンダーメキシコ工場を立ち上げる際に、制作や品質の指導を行ったという位、品質はお墨付きです。このような事から、この時期のレスポールを比較すると、日本製の品質の方が軍配を上げるのではないかと推測します。   前置きが長くなりましたが、オービル・オービルバイギブソン・ギブソンを弾き比べたレポートです。実機の年式や保存状態は同じ条件ではありませんが、過去の経験(お店や知人が所有するギター含む)などから類推して評価したいと思います。   試した実機 ・オービル製 カスタム ・オービル製 オービルバイギブソン スタンダード ・ギブソン製 レスポール スタンダード×3本 いずれも80-90年のモデル   オービル・オービルバイギブソン・ギブソンを弾き比べた   結論から言ってしまうと、確かに、オービル(日本製)の方が全体的な品質がいいです。   品質チェックポイント ・チューニング精度 ・ピッチ精度 ・ネックの劣化(反りや歪みなど) ・塗装の劣化 ・フレットボードの劣化 ・金属の劣化 ・電気回路の劣化(ピックの性能やガリなど) ・電気回路の精度(ノイズなど)   上記のチェックポイントにおいてどれも日本製の方が上回っています。   オービル製品はチューニングペグがひっかかる事なくスムーズに回りリニア感があり、回転に比例して細かいステップの調弦ができます。一方、ギブソン製は、カクカクしたイメージがあり、思いっきり回してもピッチが変わらなかったり、逆に、少し回しただけで大幅にピッチが変わってしまう事があります。   ピッチ制度はギブソン製はチョーキングの音程がほとんどあっていません。対して、オービル製はチョーキングをしてもほぼ正確なピッチを再現しています。   次は塗装についてです。ギブソン製はくすみがあり、オービル製品はくすみがほとんどなく、艶があります。筆者の場合は、この艶が造り物っぽく感じてしまいますが。金属部分に関して言うと、ギブソン製はくすみや錆が多いです。オービル製に劣化は見られませんでしたが、ギブソン製の金属っぽさが薄く、型にはまった大量生産っぽいチープさを感じてしまいます。   サウンドの品質もオービル製に軍配があがります。ピックアップの劣化はほとんど感じません。聴感上ですが、レンジ感やf特、SN比など、どれもギブソン製より高いと思います。   ただ、一番差が出るのが音色です。オービル製のレスポールは正確な音と品質の高いサウンドを奏でるのですが、音色に関しては無機質で味が薄い気がします。一方、ギブソン製のレスポールは正確さや品質では劣るものの、曖昧で荒くて、甘くて粘りっこい尖った味の音がします。オービルバイギブソンの方はさすがギブソン製のピックアップを採用しているだけあり、粘っこさが感じ取れます。しかし、それを活かす尖った個性が少し弱い気がします。   ライブ   このサウンドの違いが最大のポイントです。品質は優越がつけられますが、サウンドに関しては優越がつけられないので好みという事になりますね。   プロミュージシャンはこのサウンドでギブソンの良さを実感しています。オービル製レスポールは日本での人気はあるものの、アメリカをはじめとする訪米諸国ではあまり人気がないのもこれが理由なのではないかと思います。   筆者はギブソン派なのでどうしても依怙贔屓してしまうのですが、ギターには工芸品としての美しさと、サウンド(音色)の美しさを求めます。特にレスポールは両者とも個性があり優れた楽器なのでとても魅力的です。ヴィンテージ品が2000万円もする理由は、この二つの要素が大きいとされています。(希少性が一番です)   オービル製ギターは、楽器としてものすごく立派です。でも感性にうったえてくる量が少なく感じてしまいます。なんというか、音程や音量が正確でも感情を込めずに歌を歌っているような感じとでもいいましょうか、、ちょっと大げさ化もしれませんが、そのようなイメージです。   楽器は「楽しむもの」ですので、自分が楽しければそれでいいので正解はありません。自分にとって「最高」と思うギターが自分にって一番のギターです。皆さんも最高のギターを探しましょう。(あ、でも筆者のようにバカ買いする事はお勧めしません^^;)

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この記事を書いた人

かつて「伝説の四代目」と呼ばれた。
「モテたい」――そんな単純かつ純粋な理由で手にしたロックギター。
ギター部の片隅でコードFに心を折られながら文化祭のステージでは教室の窓を震わせた。

あれから20年。スコッチウィスキーを片手に、アコースティックギターを優しく奏でる日々。これからギターを始める者たちへの「ヒント」を届ける。
かつての自分と同じように、音に憧れ、つまずき、そしてまた立ち上がろうとする誰かのために――。

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